キタサンブラックなぜ引退? 馬主・北島三郎さんも涙
山本孝興、久保田一道
12月26日16時55分
引退レースを優勝で締めくくり、史上最高の賞金を獲得したキタサンブラック。人気と実力を兼ね備えた5歳馬だ。惜しむ声が多いなか、なぜ引退なのか。
「キタサンブラックと別れるのはとてもつらいが、感謝しかない」
24日、千葉・中山競馬場。第62回有馬記念(GⅠ)後の引退セレモニーで、馬主で歌手の北島三郎さん(81)は涙声で語った。勝利後の恒例となったキタサンブラック版「まつり」を熱唱。キタサンブラックもスタンド前を2往復し、ファンで埋め尽くされたスタンドから「ありがとう、ブラックー!」などと歓声が上がった。
キタサンブラックは2012年3月生まれのオス。父のブラックタイドはGⅠで7勝したディープインパクトの兄だが、目立つ実績はなく、母のシュガーハートは一度も出走することなく引退している。血統がものをいう競馬界では「非エリート」だ。
15年1月、3歳でデビュー戦を快勝し、その後も連勝。ただ、両親が実績を残していないため当初はあまり注目されず、初めて1番人気になったのは12戦目だった。ファン投票で優先出走馬が決まる有馬記念では、2年連続の1位選出。今年は唯一10万票を超えた。
通算20戦12勝、獲得賞金約18億7千万円は史上最高となった。そんななかでの引退だが、北島さんはこうも語った。「終わりと同時に始まりだと思っている。新しい道へ進ませてやりたい」
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기타산 블랙(牡 5歳) 은퇴식(예정):
2018年1月7日(日) 16時30分頃~ 교토경마장(京都競馬場)
기타산 블랙 G1 우승경력 (7승)
2015年 菊花賞(GⅠ)
2016年・2017年 天皇賞(春)(GⅠ)
2016年 ジャパンカップ(GⅠ)
2017年 大阪杯(GⅠ)
2017年 天皇賞(秋)(GⅠ)
2017年 有馬記念(12月 24日)(GⅠ)
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新しい道とは、メスと交配し、子孫を残す種牡馬(しゅぼば)(種馬)の仕事。競走馬は一般的に3~4歳で成長期を迎え、GⅠ級のレースで活躍する馬は5歳で体力的に衰え始めるとされる。血統も成績も比較的地味な馬ほど高齢まで走り続ける傾向があり、JRA(日本中央競馬会)によると、25日時点で中央競馬の最高齢は11歳のオスだ。
キタサンブラックの生産者、ヤナガワ牧場(北海道日高町)の梁川正普(まさひろ)代表(47)は「来年走ったとして、いくつかGⅠを勝つチャンスがあったかもしれない」。ただ、レースのたびに故障のリスクを抱え、仮にけがで立てなくなれば、安楽死させられ種馬としての価値もなくなる。「種馬という次の仕事も控え、優秀なメスを集めるには、引退時のイメージも大切。余力を残して強いまま引退するのが一番よかったと思う」と言う。
50歳まで現役を続けたプロ野球中日ドラゴンズの元投手で競馬ファンとして知られる山本昌さん(52)も「十分過ぎる成績を残した。年齢的にも体力のピークで、今後のけがの危険性を考えると引退は最善のタイミング。最後の有馬記念も一度も先頭を明け渡すことなく、地味だがけがをしない名馬らしいレースだった」と評価する。
キタサンブラックは来年から種馬として育てられる。現役時代の実績などを元に馬主側と生産牧場側とで決められる種馬としての価値は、13億5千万円。種付けを希望する馬の生産者らが資金を出し合って、種付けの権利を得ることになる。権利のない人もその時々の相場で種付けができる。人気馬の種付け料は一般的に1回数百万円。ディープインパクトの来年の種付け料は4千万円だ。子どもが実績を残せなければ、種馬としての需要は減る。
日本軽種馬協会(JBBA)によると、17年に種馬として登録されているのは267頭。毎年40頭ほどが新たに仲間入りする。競馬評論家の須田鷹雄さんによると、現在日本の競馬界では02年に死んだサンデーサイレンスの子孫が多い。キタサンブラックもその孫。同じ血筋のライバルが多く、同じ系統のメスとの交配も難しいという。
須田さんは「引退戦を勝利で飾り、印象の良い形で終われたことはプラス。最初の1~2世代が勝負で、そこで人気を獲得すればどんどん良い方向に行くはずだ」とみる。
強みもある。キタサンブラック自体は中距離から長距離の舞台で活躍したが、母方の祖父は短距離に強いサクラバクシンオー。梁川代表は「スタミナ十分なうえに、スピードを出せる血統。配合の幅も広がるはずで、子どもの活躍が楽しみだ」と話す。(山本孝興、久保田一道)
主な活躍種牡馬と抹消時の馬齢
●金額は獲得賞金、※はサンデーサイレンスの子孫
JRAホームページより
◆※ディープインパクト(4)
14戦12勝、約14億5千万円
◆キングカメハメハ(3)
8戦7勝、約4億3千万円
◆※ステイゴールド(8)
50戦7勝、約7億6千万円
◆※ハーツクライ(5)
19戦5勝、約5億5千万円
◆※ダイワメジャー(6)
28戦9勝、約10億円
◆クロフネ(3)
10戦6勝、約3億7千万円
◆※マンハッタンカフェ(4)
12戦6勝、5億2千万円
◆ルーラーシップ(5)
20戦8勝、約5億5千万円
◆※ブラックタイド(7)
22戦3勝、約1億6千万円
◆※ネオユニヴァース(4)
13戦7勝、6億1千万円
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